設計思想と制作現場への配慮について
Aluvasは、アルミニウムという素材を使いながらも、制作現場の使用感を大きく変えないことをひとつの前提として設計されています。
木枠での制作に長く親しんできた作家が、戸惑いや不安を感じにくいこと。
そして、作品の価値を支える支持体として、長期的に安定した条件を保つこと。
このページでは、Aluvasがどのような考えと配慮のもとで設計されているかを整理しています。

木枠への敬意から設計は始まっています
木枠キャンバスは、長い時間をかけて培われてきた支持体です。
素材の温もりや、張りの感覚、制作行為そのものに与える影響を含めて、木枠そのものを表現の一部と捉える作家も少なくありません。
Aluvasは、そうした木枠の価値を否定するものではありません。
むしろ、長年使われてきた理由があることを前提に、制作条件が変化した場面での別の選択肢として、連綿と続く歴史の延長線上に位置づけています。
見た目と手触りを、急に変えないために
アルミ製フレームであることは、見た目や手触りの違和感につながりやすい要素です。
Aluvasでは、従来の木枠に近い外観と使用感を意識し、エッジのR形状や、画面中心に向かう角度など、細部の形状を調整しています。
制作中に視界へ入るフレームの印象や、張り込み時の手の感覚が極端に変わらないことを重視しています。
「アルミ=重い」という不安について
金属製フレームに対して、「重い」という印象を持つ方は少なくありません。
Aluvasでは、構造設計と材料選定によって、必要な剛性を確保しつつ、取り扱いやすい重量に抑えています。
大型作品や、搬入・搬出を伴う制作条件においても、現実的な運用が可能であることを前提としています。
これまでの制作環境のまま組み立てられます
制作工程を大きく変えないことは、心理的な負担を減らすうえでも重要です。
Aluvasのフレームは、一般的な電動ドライバーのみで組み立てが可能です。
特別な治具や専用工具を必要とせず、従来の制作環境に無理なく組み込めることを意図しています。
張り方は、これまで通りです
キャンバスの張り工程は、作家ごとに確立された感覚があります。
Aluvasでは、アルミフレーム内部に木部を組み込み、従来通りタッカーとステープルによる固定が可能な構造としています。(タックス=釘は使用不可です。特に10mmを超えてくるとキャンバスへ歪みが発生します。)
また、市場で一般的な工具事情を踏まえ、幅12mmのタッカーに対応したステンレス製10mm長H線ステープルを用意しています。(幅10mmのステンレス製10mm長ステープルや、鉄製であれば比較的店舗で容易に入手できます。)
制作現場の実情に合わせることも、設計の一部と考えています。
展示金具への対応について
展示方法は、会場や作品ごとに条件が異なります。
Aluvasのフレーム構造は、市販されているビス固定式の吊り金具を取り付けやすい設計です。
従来の木枠で使用されてきた既製金具を前提に検討できるため、展示条件の読み替えが最小限で済む場合があります。
木部材料の選定について
内部に使用する木部には、ラワン材ではなく、シナベニヤを採用しています。
経年変化によるアクの発生を抑え、長期的な作品保存への影響を最小限に抑えることを目的としています。
目立たない部分であっても、支持体としての信頼性に関わる要素は慎重に検討しています。
(アク止めシーラーなどは施しておりませんので、必要であれば別途ご用意ください。)
内部構造と組み立て精度について
外枠フレームと中桟フレームの接合には、弊社独自の溝構造を採用しています。
この構造は、組み立て作業のしやすさと、接合部の剛性を両立させることを目的に設計されたものです。
もともとは、屋外環境での使用を前提としたフレーム設計の中で、風圧や振動といった外的要因に耐えるために磨かれてきた構造です。
実用新案として登録されており、屋外看板用アルミフレーム「アルコンフレーム」の商標製品にも同様の構造が採用されています。
用途は異なりますが、構造的な考え方はAluvasにも引き継がれています。
組み立て時の不安を減らすために
組み立て工程で迷いが生じないよう、Aluvasでは、部材ごとの番号表示や、中桟位置が視覚的に分かる印を施しています。
また、組み立て図面を同梱し、初めて扱う場合でも工程を確認しながら進められるよう配慮しています。
作業そのものに集中できることが、結果的に作品の質を支えると考えています。
フレームと画布、それぞれの特性について
アルミニウム製フレームは、湿度変化や経年変化による構造的な反りや歪みを前提としない支持体です。
一方で、キャンバス生地は、麻・綿・混紡などの素材特性により、環境変化の影響を受けます。
Aluvasは、フレーム側の条件を安定させることで、制作・展示・保管時における考慮事項を単純化することをひとつの目的としています。
取り扱い時の安全性への配慮
制作や組み立ての過程では、フレームを手で持ち替える場面が多くあります。
Aluvasでは、アルミ特有の鋭利さを避けるため、コーナー部分に軽い面取りを施した状態で出荷しています。
これは、安全性そのものを強調するためではなく、制作工程を妨げないための実務上の配慮です。
素材特性としての環境影響の側面について
アルミニウムは、再生性の高い金属素材です。
ただし、Aluvasでは環境配慮を前提条件として設計するのではなく、耐久性や再利用性といった素材特性の結果として、副次的に評価される要素と捉えています。
制作・展示・保管を繰り返す構造体として、長期使用が前提となることも、結果的に廃棄を減らす要因になります。
アルミという材料の立ち位置
Aluvasは、「アルミだから優れている」という考え方を前提にはしていません。
制作条件が変化する中で、何を優先し、何を選ぶか。
その判断材料のひとつとして、静かに参照される存在でありたいと考えています。